納骨にかかる費用相場や納骨式の流れ

納骨にあたっては納骨式を行うのがふつうであり、当日の流れを押さえておくと役立ちます。また納骨にはさまざまな事前準備や費用も必要となってくるため、あらかじめ相場を知ってコスト削減に努めることもたいせつです。
火葬された遺骨をお墓や納骨堂などに納めることを納骨といいます。地域によっては火葬をした当日に先祖代々のお墓にすみやかに納骨をするケースがみられますが、一般には四十九日法要などの節目の時期をとらえて、家族や親族が集まって納骨式を開き、菩提寺の僧侶を招いて納骨をします。ここでは納骨にかかる費用相場や納骨式の流れについてご紹介します。

納骨にかかる費用相場

納骨にはさまざまな費用がかかりますが、一般的なお墓に納骨する場合を想定すると、直接的な費用としては数万円から10万円程度というのが相場です。直接的な費用としてまず想定しなければならないのは、お墓の蓋を開け閉めするための石材店スタッフの作業料です。遺骨を安置するためのスペースは墓石の下部に設けられていますが、その蓋は通常は密閉されているため、納骨にあたってあらためて蓋の開け閉めをする必要があります。この蓋の重さは30キロから40キロ程度もしますので、個人ではほとんど困難で、専門的な機材を持つ石材店の力が求められます。お墓はかならずしも統一的な規格でつくられているわけではなく、墓地によって作業が可能な空きスペースも限られていますので、場合によっては費用の上乗せをしなければならないこともあります。

ほかにも亡くなった人の氏名や生年月日、没年や行年などを墓石の横や墓誌に書き加えるための彫刻料がかかります。場合によっては既存の文字を消した上であらためて必要な文字を彫らなければならないこともありますので、これらを勘案するとおおむね相場のとおりの金額となります。ここに挙げた蓋の開閉や彫刻などの作業は、相場を下回る格安の金額で請け負っている石材店がないわけではありませんが、墓地によってはすでに指定石材店が定められており、それ以外の石材店が出入りできないようになっていることがあります。

納骨にかかる費用の種類

納骨にかかる費用はいくつかの種類に分けることができますが、支払いの相手方に注目してみると、大きくは石材店、僧侶個人や寺院、会食をするための施設の3つに分けられます。さきに登場した蓋の開け閉めや彫刻の作業にともなう費用は、まさに石材店に対して支払うものであり、納骨をする上では必須といえます。僧侶や寺院に対して支払う費用ですが、納骨にあたって供養のために招いた僧侶個人に対してはお布施を納めるのが通例です。お布施とあわせてもよいのですが、別の名目として御車代や御膳料をそれぞれ渡すこともあります。

このあたりは地域の風習にしたがって対応するのが無難ですが、一般的な相場としては、納骨にあたっての僧侶へのお布施で3万円から5万円程度、交通費や食事代にあたる御車代と御膳料はそれぞれ5千円から1万円程度です。これにプラスして卒塔婆を記してもらうのにも5千円から1万円程度の卒塔婆料がかかります。会食をするための施設に対して支払うものとしては、会場使用料や食事代、飲料代が挙げられます。納骨式にはおおぜいの家族や親族が集まりますので、式を終えたあとで施主が他の参列者に食事をふるまうのが通例となっています。そこで会食にあたって貸し切った会場の使用料を時間に応じて支払うほか、人数分の食事代と飲料代の負担が生じます。

納骨にかかる費用を抑えるためのポイント

葬儀や法要には多額の費用がかかるものですが、さらに輪をかけて納骨の費用まで支払うとすれば、いくらお金があっても足りなくなってしまいます。そこでポイントを絞ってできるだけ納骨にかかる費用を抑える工夫をすることもたいせつです。もしも納骨をする墓地で指定石材店が決まっていないのであれば、複数の石材店に料金の見積もりを依頼して、もっとも低い価格を提示したところと正式な契約を結ぶ方法があります。また個別に納骨をする必要のない永代供養のような方法を選択することも挙げられます。永代供養は霊園や寺院が遺族に代わって将来的な管理や供養を引き受けてくれるサービスのことをいいます。

永代供養にもいろいろなパターンがあり、お墓を他の人と共有する合祀方式であれば、納骨に加えて供養のための法要なども合同で行うスタイルとなりますので、かなりの費用抑制につながります。ほかにも納骨の必要さえない方法として、散骨と呼ばれる手段も近年では注目されるようになってきました。これは山間地や海洋上などに粉末状にした遺骨を散布するものです。土中に遺骨を埋葬するには墓地埋葬法による許可が必要となってくるため、あくまでも法律で定義する埋葬ではないことを明確にする意味で、事前に遺骨を粉砕して粉末状にすることが求められています。

納骨式の流れ

納骨をするにあたっては、納骨式と呼ばれる儀礼を執り行うのが通例となっています。一般的な仏式の場合であれば、四十九日法要や一周忌、あるいは新盆などの節目の時期が選ばれることが多いといえます。仏式では施主が最初に挨拶をし、次に菩提寺から導師となる僧侶を招いて読経、さらに会場の参列者による焼香と続き、その後にお墓などの施設への納骨、締めの挨拶という流れとなります。法要とあわせて行う場合には、この納骨式の後に参列者が集まり会食を行うことがあります。葬儀を神葬祭と呼ばれる神道形式で執り行った場合には、納骨式についてもやはり神道式となりますので、仏式とは時期や流れが異なります。

実は神式の場合には火葬した当日に納骨してしまうケースが少なくはないのですが、火葬後ただちに納骨をしないのであれば、仏式でいう忌明けにあたるのが五十日祭となっていますので、納骨式をこの五十日祭までに行うのが一般的です。納骨祭当日の流れですが、最初に神職立ち会いのもとで遺族が納骨を済ませると、祭壇を築いて食べ物などを供えます。準備が整えば神職によるお祓いと祝詞奏上があり、次いで参列者による玉串奉奠に移ります。そして最後に直会と呼ばれる会食の機会をともなうのがふつうです。これらは仏式・神式いずれの場合もそうですが、葬儀とは異なり長くても30分程度の短い時間で終わります。

納骨式までに準備する物

納骨式をするのであれば、当日までにさまざまな物品を準備したり、手続きをしたりしなければなりません。たとえば典型的な仏式の場合を想定すると、事前に菩提寺に相談をして四十九日法要などの日程を決めるとともに、塔婆なども記入してもらいます。当日に必要な塔婆については、基本的に寺院のほうに準備を任せておけばよいでしょう。また石材店に対してもお墓の字彫りや蓋の開閉などを前もって依頼する必要があります。その際に字彫りの誤りを防ぐため、石材店からは氏名などを漢字で正確に書いたサンプルを求められることがありますので、こちらも指示にしたがい準備をしておきます。

納骨式に参列する親戚などに対しても、日程が決まりしだい連絡することになりますので、こうした案内状の作成も必要です。納骨式にあたって会食を予定するのであれば、会場となるホールの借り上げや人数分の料理・飲料品の注文も済ませいおく必要があります。ほかにも納骨にあたっては埋葬許可証を墓地の管理者に提出する必要がありますし、墓地の利用許可証や印鑑もまた必要となってきますので、当日忘れないように準備しておきます。もちろん祭壇への供花やその他の供物などもあらかじめ寺院などに確認して用意します。お布施などものし袋に包んで準備をして、当日に渡せるようにしておきます。

納骨にあたっては親戚や僧侶などを招いて納骨式を行うのがふつうですので、一般的な当日の流れを押さえておくと便利です。また納骨にはさまざまな事前準備がつきもので、費用もそれなりに必要となってくるため、相場を知ってコスト削減の工夫をするとよいでしょう。